株式会社フィート(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:小林照二、以下 フィート)は、凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:金子眞吾、以下 凸版印刷)を代表研究者とし、共同で、国立研究開発法人情報通信研究機構(理事長:坂内正夫、以下 NICT)の委託研究「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発」(2015年度から2019年度の5年間)を受託し、自治体窓口業務に対応した国内で初めての音声翻訳システムの研究開発に着手しました。
システムの開発においては、東京都板橋区との連携により、窓口での実証実験をすでに開始しており、今後は窓口業務での外国人来庁者の行動分析などをもとに、利用者満足度の高い音声翻訳システムの開発を実現した上で、全国の自治体で利活用可能な音声翻訳を研究開発してまいります。
また、フィートでは、この研究開発の成果を活用し、大学やハローワーク、金融機関などさまざまな窓口業務で利用可能な音声翻訳システムの開発を推進します。
【「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発」(2015-2019年度)の背景】
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの効果もあり、訪日外国人観光客は年々増加しています。総務省でも、訪日外国人との言葉の壁をなくす「グローバルコミュニケーション計画(※)」を策定し、NICTが研究開発している多言語音声翻訳システムの実用化を推進しています。また一方、海外からの留学生の受け入れ体制の整備や、国内の労働者人口減少をカバーするための外国人労働者の受け入れ施策も進み、日本国内に定住する外国人との言葉の壁の解消が課題となっています。
凸版印刷は「情報伝達力」という強みを活かして、ICTを活用した様々な多言語ソリューションの開発に力を注いできました。
一方フィートは、これまでにNICT から技術移転を受けた、多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra+(ボイストラプラス)」や聴覚障がい者支援アプリケーション「こえとら」を提供するなど、多言語音声翻訳技術を応用した事業開発と運用に実績を持っています。
観光分野や医療分野を中心に高精度化を図ってきたNICTの音声翻訳の技術をベースに、この両社の強みを活かして、新たに自治体窓口で利用可能な音声翻訳システムを開発します。
※凸版印刷とフィートは、グローバルコミュニケーション開発推進協議会に設立発起人および幹事社として参加しています。
【研究開発の内容】
1. 自治体窓口業務の現状把握
・板橋区などの協力自治体と連携し、窓口業務での実証実験や利用者満足度を調査・分析
・窓口における外国人対応のシチュエーションや会話例の明確化
2. コーパスデータ(言語資料)の整理
・窓口応対時に想定される対話のシナリオやコーパスの作成
・英語、中国語、ブラジルポルトガル語の3言語の音声コーパス収集(クラウドソーシング含む)
3. 音声翻訳システムの開発・実証実験
・NICTの音声翻訳システムを拡張し、自治体窓口向けの音声翻訳システムを開発
・協力自治体での実証実験を通じて実用化に向けた課題検証を実施
4. ビジネスモデルの開発における基礎情報収集
・在留外国人の多い自治体を対象としたヒアリングの実施
・収益化手法(広告モデル・自治体からの課金、外国人ユーザー課金等)の具体化コーパスデータ(言語資料)の整理
【研究開発の最終目標】
1. 自治体向け音声翻訳システムの開発
・全国1,741自治体を対象としたクラウドサービスのビジネスモデルを構築
・最適なインターフェイスを検証及び運用・保守・バーションアップなどのサービスモデルを構築
2. クラウドソーシングによる多言語音声・対訳コーパス収集システムの開発
・インターネットで話者を募集し、短期間で大量の音声・対訳コーパス収集手法を確立
・スマートフォンなどの端末を利用した音声収集手法を確立
3. 全国自治体のネットワーク構築
・窓口サービスの多言語化の推進を目指す協力自治体を募り、積極的な協力体制を数多く築くことで、実用化に適したシステム実現のための調査や実証実験を実施。
・大学、ハローワーク、税務署などの公的窓口業務の適用範囲拡大の調査
4. 音声翻訳システムサービスの拡大
・商業施設や金融機関などの多様な窓口業務、医療や災害対策などをはじめとした他分野への展開の検討
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